35mm判ピンホールカメラ 3 自作カメラINDEXに戻る Home Pageへ

 2005/09/30

構想
箱の材料の中で解説しているボール紙で作ったピンホールカメラは中学1年の時に作ったと記憶していますが、これは私のオリジナルではなく子供の科学に載っていたものを多少変形して作った物です。 今から考えれば華奢な代物でかなり扱いは厄介だったのですが、兎にも角にも初めてピンホール写真を撮影したことと折り畳んで薄くなるという意味で大変感激した記憶が鮮明に残っています。

その記憶を頼りに出来るだけその時の構造を再現して少年時代に作った作品としてピンホールカメラのライブラリーに入れておこうと決めました。 従ってあちこちに改良した方が良い部分が散見されますがその点は極力忠実な復刻版ということでご覧ください。

製作に使った材料はボール紙、ブローニーフィルムの裏紙、トタン板で、最後のトタン板でピンホール板を作ったのですが、構造は同じ物を作るにしてもピンホールは0.01mmの真鍮箔を、接着には全面的に両面接着テープやセロファンテープを、というような変更はあります。

 外観図は左のとおりで、本体となるボール紙はコの字状になっておりその中に裏紙で作った蛇腹を貼り付けて
 折り畳みが可能になっています。  本体のコの字の真中部分には裏紙で作ったフィルムホルダーを貼り付けて
 あり、1枚分切断した35mmフィルムをこれに挿入してやるという仕組みです。

 前板中央裏にピンホール板を貼り付けるのですが、その前面を裏紙を長方形に切断した物で覆いシャッターとし
 ます。  そして蛇腹の一方を前板の裏側に貼り付け、撮影時には本体をコの字状に広げてその先を前板に引っ
 掛けるという寸法です。 このときの焦点距離は30mm前後であるので、広角寄りの焦点距離と言えます。

 当時撮影に使ったフィルムは白黒のボルタ判だったのですが現在は入手不能なのでネオパンSSの35mmフィ
 ルムを使用しますが、ボルタ判フィルムはパーフォレーション無しとした35mmフィルムに裏紙を付けた物であるの
 で、感光材料としては殆ど変わらないことになります。 

ボール紙とフィルム裏紙の加工詳細は右のとおりで、使用量は僅かだし加工に手間取る事はないでしょう。
最も大変なのはトタン板に0.2mmのピンホールをあける作業だったのですが、今回は0.01mmの真鍮箔を15mm角に切断して前板の裏側にセロファンテープで貼り付け、絹針を前面から刺して0.2mmの穴をあけています。
簡単に穴はあくもののごく薄い為穴の縁が切れやすく真円を得るのは難しい問題があります。

といったところですが、次に掲載する製作過程のスナップをご覧頂いた方が理解は早いと思います。

ボール紙とフィルム裏紙を寸法図通りに切り抜いたところです。 これ以外の部材は0.01mm厚の真鍮箔です。

フィルムホルダーの組み立て。 先ず筒状に貼り合せます。

手前の端の部分を細く切った裏紙を覆うように貼り付けます。

蛇腹の折り畳みが済んだ所。 かなり捩れたり変形したりしていますが、正確に折ってあれば最終的には問題ありません。

蛇腹の後ろ側にフィルムホルダーを挿しこみます。 これは前から見たところで、右側の飛び出た部分からフィルムを挿しこみます。

同じく後から見たところ。 やはり右側の飛び出た部分がフィルム挿しこみ口です。 この状態で貼り付けます。

出来上がった蛇腹ユニットを本体枠中央に貼り付けました。 茶色く見えるのは前板を貼るために貼り付けた両面テープです。

この黒い部分からフィルムを挿しこみますが、フィルムを入れた後は折り曲げて光が入らないようにします。

0.01mm厚の真鍮箔を15mm角に切って前板の裏側にセロファンテープで貼り付けました。

こちらは前側ですが、フェルトペンで中心に印をつけて絹針でピンホールをあけました。 裏側にバリが出ますが、#1000のサンドペーパーで擦り落とします。 その後に艶消しスプレーで両面を塗装します。

 塗装の済んだ前板を蛇腹に貼り付け、更に前板中央にシャッターを貼り付けて完成。 作業時間は3時間程度でした。
 寸分変わらないとは申せませんが、ほぼ48年前に作った物を再現できたと思います。

シャッターを開いた所。 縦に細く見えるのは両面接着テープで、普段はこれでシャッターの開き止めとします。

これは折り畳んだ状態で開かないようゴムバンドで止めました。 使用した厚紙が設計値より厚かったため前面中央に隙間がありますが、支障はありません。

真上から見たところです。 蛇腹の折り畳み構造やコの字型本体が前板に引っかかっている所が理解しやすいと思います。

フィルムを挿入する部分のアップ。 ちょっと入れにくいですが先がご覧のように折り曲がる為遮光の役目を果たします。

既作のカメラボディーを使った焦点距離28mmのピンホールカメラとのツーショットですが、この小ささは格別です。 
重量はなんと8g?!しかありません。

同じく折り畳んで並べました。 まるでマッチが置いてあるように見えます。 設計時より増加したものの厚さは6mmに留まっています。

このカメラでの作例は同じ物を更に5つほど作ってから撮影したいと考えています。 何しろ撮影したフィルムの入れ替えは簡単に出来ませんので、撮影枚数分カメラを作ってしまった方が効率的なためです。

残念なのは自家現像をするしかないので白黒写真しか撮影できない事ですが、ユニークさは抜群です。

----- 作例写真は後日掲載します。 -----
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