6 x 12判パノラマ/ステレオカメラ 自作カメラINDEXに戻る Home Pageへ

2007/06/01

構想

   (3つ目小僧?の新たなカメラの構想)
 雑感で触れているように 4 x 5判のカメラが完成して色々な事が確認できたり、私としての新発見もありま
 した。  そしてそれらを元に新たなカメラ製作の構想が浮かび上がっていますが、その第一弾とも言うべ
 き構想がここで紹介するものです。

 慎重居士の私は構想にかなりの時間を費やして起こりうる問題点を製作開始前に予測し、それらを可能
 な限り潰しておこうという意識がかなり働いています。  若い頃には思い立ったら即製作を開始し、途中
 であえなく頓挫して材料の無駄遣いを何度もやっていますが、年の功と言うか最近では寡作ではあるもの
 の失敗して途中で止めた!というものは殆ど無くなっています。
 これらは失敗が許されない自宅の家具の90%以上を自作という経験によるのかもしれません。

 何れにせよピンホールカメラとは言え出来るだけ写真工学の見地からしておかしな物は作りたくないし、簡
 単に壊れてしまう物も作りたくない、使いにくいのも嫌だ!という私の願望を守るには、製作する材料の全
 てがピンホールカメラを作るために存在するわけではないのでかなりの創意工夫が必要になりそれだけに時間が掛かりますが、完成した時の充実感もそれに比例して大きいには違いありません。

さて本題に戻り現在の構想のあらましに触れて見ます。  本構想の原点は雑感で述べている1番目の 6 x 6判
2画面のパノラマカメラで、6 x 6判ステレオカメラとしても機能するようにします。 
実は私の2作目のステレオピンホールカメラ(右の写真)の改良版としての位置付けにもなり、設計上も2作目を使
ってみて発見した問題点を洗い出し、それらを改善することにより完成度を高めながらゼロからの設計ではない容易な製作を目論んでいます。

それでは2作目の問題点は何であったかというと、

1.全て木製のボディーとしたためにがたが多い部分ができこれを改善したかった。
  外観では判りませんが、1作目では内層の天板に3mm厚のアルミ板を使っていましたが、このために巻き上げ機構はがたがなくチープ感の少
  ないものに仕上がっています。

2.ワンレバー式のシャッターをツーレバー式に変更。
  ツーレバー式とはシャッターのコッキングとレリースを別のレバーにしたものですが、それを採用した1作目のシャッターレリースレバーの軽い動
  作に対し、2作目ではかなり重くて見劣りがします。 この理由でシャッターを基本的に設計しなおそうという目標を立てています。

3.フィルムローディングのやりにくさ。
  この点は1作目と同じ機構にしているのですが、2作目はどうにもローディングがやりにくくなっています。 各部の寸法微調整と共に改善した
  機構を考えないとなりません。

そして新たな仕様としては次のような点が現時点で検討材料になっています。

1.シャッターは3つのピンホールを同時に開閉するギロチンタイプにする。
  2作目の変形ロータリータイプでは3つのピンホールを同時に開閉するのは困難ですので、基本的に
  ギロチンタイプのシャッターにします。 またシャッターにはステレオ/パノラマ/シングル撮影の3段階
  切替機構を組み込みます。  そしてコッキングとレリースを独立したタイプにします。

2.LED点滅のインジケーターの搭載。
  4 x 5判カメラで初めて組み込んだシャッターが開いている際のLED点滅は露出時間の確認という点で
  大変有効でありました。 露出時間確認に時計を使うと撮影している視野を見れなくなりますが、LED
  点滅があると視野を見ていてもそれが目に入ってきて撮影が楽に出来ます。
  よって点滅機構を組み込みたいと考えています。 但しスペースが限られているので、シャッターの設
  計の難易度は高くなるかもしれません。

3.巻上げ装置の抜本改善。
  逆転防止の機構に2作目ではコイル状に巻いた板バネにフリクション式を採用しました。 これでも確実な動作はするのですが、ぐにゃぐにゃし
  た感触が残り気に食わなかったので、本格的な歯車を使った逆転防止機構を検討中です。

4.ピンホールには0.05mm厚ステンレス箔を使う。
  計算したところ焦点距離35mmでパノラマモード時の対角線画角は約124度になります。 この値は 4 x 5判カメラ(焦点距離40mm)とほぼ同
  じです。  よって周辺減光を少しでも抑えるには、極薄のピンホール材料が必要です。 目標としては0.05mm厚のステンレス箔としておきま
  す。 かなりぺらぺらになりますが、ステンレスだけに腰はしっかりしていますし、破れにくさはチタンを除けば他の何れよりも優秀でしょう。

右の図が現時点での寸法図で2作目から微調整した範囲に収まっています。 但し設計製作上一番重たいと思われるシャッターの厚みはかなり増大しそうであり焦点距離を35mmのまま維持するにはボディーの寸法の微調整をかなり進めないとならないと思います。  そしてそのシャッターが上手く作れるかが本構想の鍵ですので、シャッターの具体的な構想・設計について近日中にご紹介したいと思います。

----- つづく -----

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