ピンホールカメラは完成品やキットの形で販売されている物もありますが、種類が限定されて入手性はあまりよくありません。 基本的に光をさえぎる暗箱の中に感光材料をセットしその対面にピンホールを取り付ければよいわけですから、自作するのも簡単に実現できます。
但しピンホールの工作精度は画質に影響しますし、カメラの各部の機構を工夫すれば使いやすさが増大しますから、自作とはいってもその範囲はかなり広く、正にピンからキリまであります。 私の場合はもともとカメラというメカニズムに非常に興味を持っているため、どちらかというと複雑な機構の組み込みや加工をやろうとする傾向がありますが、だからと言ってその結果より優れた写真が撮れるカメラになるか?と言うと、それは別問題だと考えています。
一例を言うとピンホールカメラの宿命である周辺光量の低下についても、それを意識した画像構成や撮影という表現技法がありますし、缶カメラでよくある内面反射による影響も表現技法の一種として利用する手だってあります。
しかし私は、自作のピンホールカメラは自作難易度の差は別としても、「ピンホール写真を撮ったー!!」という充実感を一番味わえる方法のような気がしています。
こんな観点からピンホールカメラを作る方法について、それこそ数時間で作れる方法から、数ヶ月を要するようなものまでを、「自作カメラ紹介」の欄にて随時紹介いたします。
またそれとカ項目毎の作り方のノウハウを、 針穴の作り方 箱の材料 各種機構 撮影フォーマット
の4種類に分けて解説する予定で、それぞれの項目へはホームページから直接入れるようにしたいと考えています。
難易度で分けた自作カメラの分類
完成品やキットが余り出回っておりませんからピンホール写真を撮るためには程度の差こそあれ自分で作る、或いは加工することがひつようになってきます。 しかしその方法も千差万別ですので、難易度の低い順に分類してみます。
1.通常のカメラに手を加えてピンホールカメラとして使う方法。
レンズ交換式のカメラでは、ボディーキャップを入手しこれにピンホール板を取り付けるだけで本格的なピンホールカメ
ラが数時間で完成します。 簡単に出来てしかも巻き上げ機構やシャッターはそのまま使いますので撮影効率が大
変良く、ピンホール組込みのボディーキャップを持ち歩けば、通常の写真撮影をしている合間にピンホールでも一枚!
という具合に交換レンズの一部としてピンホールを考える使い方が出来、便利この上ありません。
但し1眼レフではファインダーが極端に暗くなってしまうので、撮影する範囲の確認には同
じ焦点距離のレンズに付け替えて確認する!などの工夫が必要になります。 唯一の
問題は短焦点(広角)にしにくいと言う点で、35mm1眼レフの場合焦点距離40mm以下に
Nikon FM2゚での自作例 するのはかなり困難です。 35mmレンズ交換式レンジファインダーカメラでは焦点距離を20mm近くまで短くすることが可能ですが、一般性が若干薄れてきます。 (右はM型ライカマウントのカメラで作った28mmの例)
ブローニーフィルムやシートフィルムを使うカメラは画面サイズが大きくなるので大変魅力的ですが、ピンホールカメラの為に購入するというのは、投資効率が悪すぎて余り一般的ではありません。
その他廉価なカメラや中古のカメラのレンズ部分を取り去ってそこにピンホールを取り付ける方法もありますが、その場合には何らかのシャッター機構の追加が必要になります。
2.市販のフィルムバックを使う方法
大きなフォーマット(例えば ブローニーフィルムを使う6 x 9、6 x 7、6 x 6、6 x 4.5やシートフィルムを使う 4 x 5、
5 x 7等)の場合、フィルムバックだけが市販されており、これを利用することによって巻き上げ機構を考えずにすむ
カメラが作れます。
この場合のメリットは何と言っても大型画面を使える点にあります。 このフィルムバックの前にピンホールを取り付け
た暗箱を作ればよいわけで、工作の容易さとしては簡単な部類に入ります。 またインスタント写真用のフィルムバッ
マミヤのロールフィルムバック ク利用もこれと同じです。
唯一の難点はフィルムバックの価格が高いことで、元々プロ用の領域で生産量が少ないためか割高感があります。 中古市場で販売されている手頃な価格の物を気長に探してみるのもひとつの手です。
3.全て自作とする方法
製作の手間は掛かりますが、費用的には結構ありあわせや何らかの古い金属部品なども流用することにより安く作れ
ます。 もっとも簡単な物はボール紙を貼り合わせて基本機構だけを入れたものですが、操作性や機動力そして連
続撮影などの点では劣ります。
それらを改善した機構を追加すると製作難易度は急激に増大してしまうのが最大の難点であるのと共に、うまくいった
時の充実感はまた格別であり、正に趣味の世界そのものの方法と言えます。
(左は2ヶ月土・日を連続使って作ったカメラ)
Copyright (C) 2001-2011, Vic Ohashi All rights reserved.
|