2007/05/25
カメラ製作構想
やっと完成した4 x 5判のカメラ試運転の結果、今後作って見たいというカメラの構想が
色々出てきている。 そしてそれらは「自作カメラINDEX」で紹介している将来構想を根底
から覆す方向になりそうだ。 その構想なるものの概要をお話したいのだが、その前に
4 x 5判で撮影して判ったことや確認できたことについて簡単に触れてみたい。
1.125度の画角について
4 x 5判カメラの焦点距離は40mmで作っており対角線の長さは155mmあるが、これ
から計算した対角線画角は約125度であり、35mm判では11mmと極めて広角になっ
ている。 従って周辺光量低下を少しでも抑えるために、ピンホールは0.02mm厚ス
テンレス箔の中心部を研磨して0.01mm以下に薄くし0.22φの穴をあけている。
これによる効果はかなりあったと思われ周辺光量低下を作画に使う考え方は別とし
ても超広角撮影の実用性を確認できた。 同じ対角線画角を6 x 9判に適用した場
合、焦点距離は26mmまで下げられるし、35mm判の場合には前述のように11mmに
なる。 また6 x 6判2画面を使ったパノラマカメラを考えた場合には対角線は132mm
になるのだが、同じ画角とした場合の焦点距離は34mmで、既作の6 x 6判ステレオ
カメラの2画面を1画面としたものにほぼ等しくなる。
(4 x 5判で撮影した作例。 ノートリミングでカメラは水平にセット。)
因みに4 x 5判の実画面サイズが縦98mm、横120mmと、横は6 x 6判2画面にほぼ匹敵するので、上の写真の縦方向を56mmで切り取り6 x 6判2画面パノラマカメラで撮影したシミュレーションをしてみた。 その結果は右のとおりで、写真そのものの良し悪しは別としてパノラマカメラとしての実用性は十分にある。
もっと横方向を伸ばして 6 x 9判2画面を使った対角線画角125度のパノラマカメラを考えた場合(対角線は約180mmになる。)
焦点距離は46mmで縦方向の画角は35mm判 で言うと20mmに相当する。 これは上下両方向に超ワイドなパノラマカメラになる。
こんなことを考え始めると切りがないのだが、対角線画角125度まで十分実用になる!という確認が出来たことは大変大きい。 但しピンホールの製作の難易度は焦点距離が短い場合には大変高くなる。
2.フォーマットの経済サイズについて
先週にも申し上げたとおり 4 x 5判或いはそれ以上の大きさのフィルムで撮影することは鮮鋭度の改善よりも費用負担の増大が大きくなってく
る。 この点で多量に撮影する場合には120判フィルムを上限としてもっと充実したカメラを製作する価値があるような気がする。
3.露出時間について
これは4 x 5判のみならず 6 x 9判でも気がついていたことだが、露出時間を4秒以下に下げることが難しい。 私が最近使い出した120判
ISO400のフィルムなら快晴の日には1秒露出が可能になるが、それ以下に露出時間を縮めるのはほぼ不可能。 4 x 5判だとISO100が上限
だからピーカンの日でも4秒の露出が必要になる。
ピンホールの写真における表現として「時間の経過」或いは「ある短い時間の切り取り」みたいなものがあると私は思うのだが、そのために
は1秒以下の露出時間が必要になってくる。 4秒露出では被写体が余りにも動いてしまって何が写ったのか判らず、結果として短い時間の切
り取り効果が失せてしまうからだ。
こんな点で35mmカラーフィルムではISO1600があるのでこれを使うと快晴の日には1/4秒、白黒フィルムで自家現像でISO3200-6400程度ま
で増感するとしたら、1/8秒から1/15秒の露出で済むことになる。 こういった高感度35mm判カラーフィルムや白黒フィルムの使用は鮮鋭度
は別として短時間切り取り効果の点で魅力がある。 但しこのような短時間露出の場合にはB(バルブ)撮影では露出時間が不安定になり
シャッターに一段と工夫が必要になる。
4.あおり撮影の価値
ピンホールカメラにおけるあおり撮影は光学レンズを使った場合よりも範囲が狭く、ピ
ンホールの光軸が撮影画面からずれた状態(レンズシフト)に限られる。
とは言えこれにより上すぼまり(またはその逆)で撮影される被写体を補正できるの
で以前から興味があったのだが、周辺光量低下分布もそれに伴ってずれるためどれ
だけ実用性があるのか疑問視してきた。
しかし前掲の写真を元に 6 x 6判2画面パノラマカメラでピンホールを1/4画面(約
14mm)上にずらして撮影したもの相当にシミュレートしたところ左のようになった。
単純に切り取り位置を上にずらしただけ!と考えてはならない。 地平線より上をより写しこむとカメラは上を向くようにセットせねばならず上すぼまりの画面になってしまうが、あおりを使った場合にはこのように撮れるのである。 よって6 x 6判または6 x 9判で焦点距離が35-40mmの場合光軸シフト量が20mm程度までは何とか実用になりそうだとの感触を得た。
5.ワンレバー式シャッターの問題
初代の 6 x 9判カメラではシャッターリリースレバーとは別にシャッターコッキングレバーを持ったツーレバータイプのシャッターを自作したが、
その後採用したワンレバータイプは構造が若干簡単なもののシャッターリリースに大きな力が必要になり使用感があまりよくない。
今後製作するシャッターについてはツーレバータイプに戻したい!というかそれに限定したいと考えている。
その鍵は簡単明瞭な機構、電子回路との融合であり難易度は無論高くなるがチャレンジしてみたい。
以上の確認事項を踏まえて次のようなカメラの製作構想が出てきている。
1.6 x 6判2画面ないしは6 x 9判2画面のパノラマカメラ
前者の場合にはステレオカメラとの切換可能という切り口を持たせたいし、後者の場合には1画面撮影も可能にしておきたい。
またピンホールのシフトが可能であれば言うことない。
2.6 x 9判2画面を上下に配した大画面カメラ
これは先週触れているとおりだ。 ランニングコスト低減が目標になる。
3、短時間切り取り専用カメラ
1/30秒からのシャッターが付いたカメラ。 35mm判になるだろうし少しでもF値を上げたいので焦点距離は12mm辺りを狙いたい。(この時の最
適ピンホール径を元に計算するとF値は100となり、ISO1600のフィルムとの組み合わせで、1/30秒で撮影することが出来そうだ。)
問題はシャッターで、機械的なシャッターでの自作はほぼ不可能だからメカトロニクス的なシャッターを作る必要がある。
ピンホール写真で手持ち撮影なんてことも夢ではなくなる。
何か夢のまた夢!みたいなお話になってしまったが、具体的な構造の検討は既に進みつつある。 とはいってもトントン拍子で進む項目は一つもないだろうから、かなりの時間が掛かることが想定されるが、おいおいその辺りを紹介してゆきたい。
2007/05/18
初めての4 x 5判撮影の感想
4 x 5判のような大判フォーマットは一生使う機会はないだろう! とピンホール写真に病みつきになるまえには考えてい
たのだが、それを使用する機会を得た。 そして「その結果に満足か?」 と聞かれると答えは正直言ってビミョーにな
りそうだ。 幸いにも拘り機構の追加により苦労して製作したカメラも全く不具合なく作動してくれたし、大判の威力は事
前の期待以上であり、大きなフォーマットによる拡大率が小さくて済む引き延ばしで、見かけ上の鮮鋭度がぐんと
上がる点は疑念の余地がない。
しかし次のような問題点を同時に感じており手放しで喜べないのだ。 (左は新作 4 x 5判カメラによる作例。)
1.フィルム装填のわずらわしさ
フィルムホルダーにシートフィルムを完全な暗黒下で装填しないとならないわずらわしさや慌てて装填した時の失敗などは、気軽に扱えるという範疇ではない。 もっとも私の場合は20年以上前に購入したダークバッグを所有しているので、それを使えば暗室でなくてもフィルムは装填できるのだが、手探りで作業することはやはり面倒だし、何らかの失敗をやらかす可能性はロールフィルムとの比ではない。(既に3度もやらかした!)
2.ランニングコスト
もっと問題なのはランニングコストだ。 4 x 5判のカラーフィルム1枚の購入価格と現像費用合計はほぼ\700.-になる。 1日に10枚撮影すると\7,000消える。 これに対し中判サイズでもっとも大きい6 x 9判の1画面辺りのコストを調べたら約\145.-となる。 撮影画面の面積は4 x 5判が11,760mm2に対し6 x 9判は4,704mm2で、4 x 5判は2.5倍大きいが、費用負担は4.8倍を超える。 同様な計算を35mm判でやった場合そのような極端な差は出てこないと記憶している。(35mm判の場合フィルムのコストと現像代にかなりの幅があるから比較はあまり簡単ではない。) 35mm判から6 x 9判を始めて使用した時には費用負担の増大よりも鮮鋭度の改善に対し十分にハッピーだったが、どうも今回はそうは行かない。 懐への負担が大きすぎ、気楽に撮影とは行きそうにない。
3.画面のアスペクト比
もうひとつ問題がある。 それは撮影画面のアスペクト比だ。 4 x 5判の横幅を縦で割った値は1.22(ホルダ
ーを測った実測値で計算、普通は1.25とされている。) これに対し35mm判や6 x 9判は1.5、つまり後者の
方が横長画面になっている。 他のフォーマットを調べたらパソコンの画面、コンパクトデジカメの大半、645
サイズ、35mmハーフサイズは1.33、マイナーだが6 x 8判が1.36、4 x 5判より正方形に寄っているのは
6 x 7判(4 x 5と同じ)と 6 x 6判(1.0)しかない。
私自身35mmカメラで撮った写真が大半であることも
あって1.5というアスペクト比でのフレーミングに慣れ
親しんでおり、この比率が最も美しいと思っている。
太っちょに見える4 x 5判では上下に余計な隙間が出来てフレーミングがしにくくてしか
たがないのだ。
このアスペクト比の問題はパソコンにプリンターを繋いで印刷する時にもある。(右図)
というのはA4やA3の印刷用紙はアスペクト比が1.41になっており、これに一番近いの
が5 x 7判でほぼ同じ。 次が6 x 8判、そして35mm判と6 x 9判で、これらの場合紙
を無駄にする部分が少なくて好都合。 4 x 5判だとトリミング無しでは無駄が多く出る。
(私はトリミングを殆どせずフレーミングを慎重にすべきと考えているので、どうしてももっ
たいないと感じてしまう。)
更に1.5のアスペクト比を使えるのであれば、35mmレンジファインダーカメラの外付け
ファインダーを流用できるが、4 x 5判に使ったら上下が切られて左右は写らない部分
が視野に入りアバウトなフレーミングになってしまう。
こんな点から私にとっては総合的に考えた時に 6 x 9判の方が遥かに合理的に思えて
しまう。 しかしそんなことを言っていたら大判フォーマットを使えなくなってしまうので暫し
考えた。 先ずは5 x 7判(アスペクト比1.4)、そして 8 x 10判(アスペクト比 1.25)。
5 x 7判は横長にシフトしているが印刷用紙とほぼ同じアスペクト比で35mm/6 x 9判
に近い。 8 x 10は 4 x 5判と同じだから 5 x 7判を使って見る価値がありそうだが、
ランニングコストは 4 x 5判以上に高くつくことは間違いない。 フィルムホルダーもより
高価になるだろうし、懐具合の悪い私にはとても踏み切れそうにはなさそうだ。
あーたら、こーたら考えているうちに面白いことを考えついた。 12 x 18判(6 x 9判の4倍の面積)ではどうだろうか?というアイデアで、考え方としては次のようだ。
120フィルムを上下に2本並べてローディングし、それぞれ6 x 9判2枚分の横長の撮影をする。
上半分は撮影画面の上半分を、そして下半分は撮影画面の下半分を受け持つ。 現像後にスキャナー
でパソコンに取り込み上下の画像をつなぎ合わせて1枚の画像にする。 この辺りはパノラマ写真合成
のソフトを使えばいとも簡単にそして正確に出来るはずだ。
(左の図をクリック)
計算してみたところ横方向は繋ぎ目無しで最大177mm、縦方向は繋ぎ目のオーバーラップを見込まないとならないので110mm程度が限度になりそうで、アスペクト比は1.6。 6 x 9判よりちょっと横長になるが、最初から横方向を詰めて165mmで仕上げればドンピシャ1.50になる。 さすれば印刷時の無駄が少なく35mm判のファインダーが流用できる大判フォーマットというわけだ。 5 x 7判の実画面サイズについて私は知らないがそれにほぼ近い面積になるであろう。 その時のランニングコストは約\580.-と 4 x 5判より安くフィルムホルダーを購入する必要もないし、カメラに明るいところでの装填も問題ない。 120フィルム2本で4画面撮影できる。
一番の問題は120フィルムを上下に近接させてローディングするメカニズムでこれにはかなりの工夫を要するが、アマチュア的に手工具だけで何とか作れる範疇ではないかと勝手に想像している。 出来たら今年中に実現したいと考えているのだが、荒唐無稽で無謀な発想だろうか?
ちょっと前には考えもしなかった構想が出てきてしまったが以上が 4 x 5判で撮影した感想だ。 しかし4 x 5判のフィルムホルダーには印画紙をローディングすることも可能なので印画紙ピンホールカメラの実験用にも使えるし、撮影回数は少ないかもしれないが4 x 5判が私のフォーマットラインナップ中の座席を得ていることは間違いない。
2006/06/23
私自身も吃驚
ごく最近ある知り合いの方から、「大橋さんあなたが復刻版として紹介しているボール紙製の折畳式ピンホールカメラはこれだったのではありませんか?」と言われた。 それは半世紀以上前に発行された科学朝日の1951年7月号に西村雅貫さんが10円で撮影を楽しむピンホールカメラと題して紹介している35mm判とセミ版(645判)の2種類のボール紙製折畳式ピンホールカメラであった。 そのうちの35mm判が私が作った復刻版にそっくりだというのである。 (私が作った復刻版の折畳式ピンホールカメラ)
その掲載ページを勝手にお見せするのは著作権に違反するのでご紹介は出来な
いが、私自身も吃驚するくらい似ていた。 一番違う部分は焦点距離で、私が作っ
た物は33mmでありブローニーフィルムの裏紙で作った蛇腹はめいっぱい開いて
いるが西村さんのものは30mmで蛇腹の開きには余裕がある位の違いだ。
この西村さんと言う方は私がカメラに大変興味を持つきっかけになった方で、コーナ
ンカメラ研究所の所長さんとして沢山のユニークなカメラを設計されている。
中でもコーナン16という16mmフィルムを使ったカメラは千代田光学(先日カメラ業
界から撤退したコニカミノルタの前進)に引き継がれ名機として知られている。
(余談だがコーナンカメラ研究所のコーナンは甲南であり兵庫県六甲山脈の麓にあ
った。 そして千代田光学(ミノルタ)も近くにあったためカメラに付けられたレンズに
は全てロッコールという六甲山脈から取った名が付いている。)
ところでこの科学朝日の記事は1951年7月号だ。 私は1945年1月の生まれだから
その時は小学校の1年生であり、科学朝日は後年中学生になってから購読したが
私がこの本を読んで作ったわけではない。 記憶では小学校3-4年生頃から読ん
でいた子供の科学(誠文堂新光社)に掲載されたものを参考に作ったのである。
多分小学校6年生頃だと思うので1957年ではないかと思う。 そうすると49年前となるが、正確に覚えていたと言うことはそれだけ私にとって興味があり強い刺激だったとご理解願いたい。
その解説は西村さんではなかったと思うが、どちらにせよ復刻版の本当の原点が判り大変感激した。 感激したついでに図書館に行って古い子供の科学を調べてみようと考えており、それが
私にとっての復刻版製作直近の原点になるからだ。 その中に若い女性を撮影した写真が作例として載っていたように記憶しており、その女性に再び出会うのも楽しみ??になる。
2006/05/12
ゴールデンウィークにやれたこと
5つの宿題を自らに課してゴールデンウィークは終わったが案の定というかやれたことは目標には程遠い。
しかし前進しなかったかというとそうでもないので簡単にその経過をご紹介したい。
1.4 x 5判のカメラ製作
これについてはボディーの製作に入ったのでこちらで紹介しているが完成までには至っていない。
事前構想には時間をかければかけるほど様々なアイデアが出てくるもので、このカメラの最終的な形は何の変哲もない箱型になった。
これには幾つかの理由があるのだが一案大きい理由は、搭載するシャッターの大きさの自由度を取りたかったことだ。 これまでに幾つか試
作したシャッターは何れも動作が不安定ということはないのだが、より小さな物やより軽く作動する物、或いは電子回路組み込みの物など
色々なアイデアがあるので、そのテストに便利なように内部のふところが大きい物が良い!ということで箱型になった。
もうひとつの理由は製作期間の短縮と手持ちの端材だけで作れることだ。 単純な箱型のほうが作りやすいのは当然として箱を作る材料は
一切新規購入しないこととした。 私のメインテーマの日曜大工の実行で出てくる端材は増える一方でありこれは家内の最大の目の仇だ。
これを少しでも減らす努力をしていることを見せる!というポーズがそこにはある。 この結果使える材料は合板が主になるが合板の弱みと
して切断面が美しくない。 それを単純箱型とすることで少しでもまともに見えるようにしたいと考えている。
まあ色々なアイデアを検証するのが目的なので、デザイン的に凝っても余り意味がないだろう!というのも理由の一つにはなるが、それなりに
仕上げ処理で見られる物にはしたいと考えている。
2.シャッターとキッチンタイマーの連動機構
これについてはやらねばならないことが完全に明確になった。 なにかというと電気接点をシャッターのどこかに設けて、シャッターを開いた
ときと閉じたときの両方で電気接点が一瞬閉じる機構を組み込む!ということだ。 その実現には2通りあり、理想論を言うとシャッターセクタ
ー(シャッター開閉の羽)の動きに電気接点を連動させる方法と、若干問題があるのだがシャッターレリーズを押す、離すに電気接点を連動さ
せる方法だ。
前者は実際にシャッターが開かないと電気接点はONとならないから誤動作やタイミングのずれも少ないのだが、電気接点が極僅かな力で作
動しないとならない。 出来れば非接触でやりたいのだが電源が不要という条件を付けるとリードスイッチに永久磁石の組み合わせしかなく実
現するにはかなりの予備実験が必要になる。 後者のレリーズに連動させる方法は間接的な方法で電気接点の作動トルクの心配はないが、
タイミングのずれやシャッターセクターが開いていないのに作動するといった問題もあるのだが実現は大変簡単だ。
一回目の試作はこの後者の方法でやってみようと考えている。
3.110判フィルムを使ったピンホールカメラの構想検討・試作
これについては既に構想がまとまりつつあり、近いうちに紹介できると思う。 巻き取り装置に使うギヤーも入手できたので残るは如何にシャッ
ターを小さく作れるかだ。 場合によっては撮りっきりカメラのシャッターを流用なんてことも考えた方が良いかもしれない。
4.多重露出型パノラマカメラの基礎実験と、5.蛇腹の試作は全く手がついていないが、替わりに極短焦点の35mm判ピンホールカメラを作る方法を検討中。 そのネタは古いカメラを改造する方法で手持ちのジャンクカメラ(オリンパス TRIP35)を分解して短焦点の限界を調べている。 現在の所15mm程度の焦点距離が得られそうな気配だが、これはレンズ交換式のカメラにピンホール板を取り付ける方法ではマウントそのものにけられて絶対に実現できない。 またジャンクカメラとは言え折角壊して改造するからにはフィルムの巻き上げ機構はそのまま使える工夫が必要だ。 特にコマ間隔を一定にする巻上げ自動ストップ機構はそのまま使えないと意味がないので分解後の慎重な検討が必要だが、その成功の確率は高いと考えている。
もうひとつピンホールカメラ用のファインダーとして抜群なソリューションを発見した。 簡単にファインダーを実現するには既製品のファインダーの流用があるのだが、大変高価であること(\20,000以上)と見える範囲の問題がある。 入手しやすいのは35mm判用だが、当然ながら縦横比は1.5:1になってしまう。 ということは35mm判以外では6x9判にしか使えない。 スポーツタイプのファインダーは私も6x 6判ステレオカメラで使用しているが、広角になると視野全体を見渡すことが出来ず目玉をぐるぐる回す妙な覗き方をしないとならず大変不便。
さてそのソリューションは手持ちのニコン純正のデジカメ用0.6倍ワイドコンバーターを覗いた時に、あっこいつをファインダーとして使える!と気が付いた時に始まる。 但し直径が75mmもあって重いし(165g)価格を考えるともったいなくて使えない。 そこでサードパーティーの物なら安い物があるだろうと物色し候補を絞ってカメラ量販店で実物を確認し2種類の物を購入した。(私にしては珍しい衝動買い!)
ひとつは購入価格が約\7,000.-でニコンのものの半額ながら倍率が0.5倍ということで見える範囲も広く、おおよそだが35mm判の13mm程度まで使える。 重さは140gとニコンよりは少し軽く大きさも直径60mmと大げささは減るし見え味も大変良好。 もうひとつは携帯電話内蔵カメラ用のワイコンで、見え味は落ちるし画角も28mm位しか取れないが大変軽量(数グラム)だ。 価格は約\1,700.-で性能を考えると割高だが簡単に作るには止むを得ない所かなと思う。
ということで私の書斎の作業台の上には以上の検討をするための雑多な部材が所狭しと散乱しているが、おいおい順序をつけて紹介してゆきたいと考えている。
2006/04/28
ゴールデンウィークの計画
現在の我が家では事情があって私が単独であれば別だが、家内と泊り掛けで出かけるのは容易なことではない。
そこで間もなくやってくるゴールデンウィークだが、今年は5月3日から5月7日が完全に連続した休日となることもあり、何をしようか大変迷っている。 無論その中の一日は家内と次女(MDFのデミちゃん)を連れてどこかに出かけようと思うのだが、残りの時間はたっぷりある。
そこでどこまでやれるかは全く未知数だが、純然たる趣味としてのピンホールカメラ作りにおいて、これまでにアイデアとして浮かんだ試作を含め次のようなことを計画している。
1.4 x 5判のカメラ製作
2.シャッターとキッチンタイマーの連動機構
3.110判フィルムを使ったピンホールカメラの構想検討・試作
4.多重露出型パノラマカメラの基礎実験
5.蛇腹の試作
なんとも欲張った計画だが、少しでも進歩した?ピンホールカメラを作りたいと願ってのことだ。
1.については既に製作構想はほぼまとまっており、その構想に従って製作するだけだが、ファインダーの部分がいまいちピンときていない。 無論ファインダーとして一応使えるはずだが、あまりにも広角な為に視野が覗きにくいだろうと思うのでその対策を考えているのだが名案がない。
2.のシャッターとキッチンタイマーの連動は露出時間を間違えないために有効な方法と考えているが、更にカメラにLEDのインジケーターを付けてシャッターが開いている時には点滅するようにすれば、撮影中にカメラの前を横切られる事故?を防げるのではないかと考えている。
3.は最近行きつけのカメラショップで突然110判フィルム(ポケット110カートリッジフィルム)を売っているのを発見
し、これでミニピンホールカメラを作ってみたいと考えた。 20年以上前にはやっていたと思うが、裏紙パーフォレ
ーション付きで画面サイズが13mm x 17mmというミニサイズで、簡単装填、簡単撮影が売り物だった。
前面から見える感光乳剤面を覆ってしまえばよいので、カメラのボディーなど作る必要はないし撮影駒数は裏窓
で確認できるからありがたいが、巻き取り部分にスパーギヤーが使われておりそれに噛み合う機構が必要になる
ため、ギヤーの入手も含め検討中。 また小さい物だけにシャッターをどうするかも問題である。
無論画面サイズが小さいから解像度を始め撮れる写真の質は期待できないが、兎に角小さいという意味で面白
みはある。
4.はかなり独創的なものになると思うが、360度パノラマカメラをどう作るかここ数年あれこれ検討している中で、どうしても逃げられない露出時間の極端に長い欠陥(可能性としては30分露出も十分ありうる!)を抜本的に改善する方法として最近思いついた構造で、取り敢えず写角150度近辺で検討中。 120判フィルムを使うのだが、フィルム送り機構が一番の難所になりそうなのでその基礎実験をしてみたいと思っている。 うまく行きそうであれば製作過程を紹介したいと思うが、成功の可能性は五分五分と踏んでいる。
5.は機能てんこ盛りの4 x 5判カメラ用の基礎実験で、材料の問題から作り方、そして本体への貼り付け方まで難関は沢山ある。 これがまともに出来なければ、てんこ盛り4 x 5判カメラは実現しない。
さてどのようになるか? ゴールデンウィーク明けにその成果をお伝えできるかもしれない?!
2006/03/31
PIE 2006
針穴写真協会からの依頼で光栄にもフォトイメージングエキスポ 2006(PIE 2006)に私が製作したカメラ2台をそれらで撮影した作例と共に出展する機会を得ました。 針穴写真協会によれば当初の想定よりもかなりの反応があったらしく幅約5m展示した場所にずらり並んだ沢山のピンホールカメラと撮影作品はかなりのインパクトがあったようです。
残念ながらPIE2006を訪問するチャンスがありませんでしたが、友人が訪問して撮影してくれた写真を紹介したいと思います。
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PIE 2006会場の入り口付近だと思います。 ピンホール写真コーナーは上の方の階にあります。
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こちらが幅約5mの壁面に面して展示された沢山の自作ピンホールカメラと作例写真の一部です。
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私が作ったカメラの展示。 手前が6x6x判ステレオカメラで、右奥が6x9判カメラです。
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色々な空き缶で作ったピンホールカメラ。 簡単な工作レベルで作れるのもピンホール写真の楽しみのひとつ。
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私のカメラで撮影した作例ですが、このサイトの作例ギャラリーでおなじみのもの。
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コーナーの一部で販売していた紙製のピンホールカメラ(クロ35: クロサンゴ)。 これで友人はピンホール写真を試して見るつもりです。
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これらのピンホール写真関連展示以外に子供さんを対象にしたピンホール写真撮影体験コーナーもあり、その中では暗室で現像する経験も出来たそうで大変盛況だったようです。
消え行く銀塩写真ですが、少しでも多くの方に写真の原点を理解して頂き且つノスタルジックな独特の味わいを持つピンホール写真を楽しんでいただければと願っています。 初参加と言うことで展示に拘わったスタッフの方々のご苦労は並々ならぬものがあったと思います。 ご苦労様でした。 今後は私自身ももっと積極的に参加・強力したいと考えています。
Copyright (C) 2001-2011, Vic Ohashi All rights reserved.
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